お灸大学

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最も注目を集める東洋医学のチカラをたづねます。

もぐさはよもぎの綿毛から

vol.04

春、他の植物に先がけて、いち早く芽を出すよもぎは若芽全体が白銀色の綿毛につつまれています。
そして、その芽から出る葉の表面はみどり色でつやつやしていますが、葉の裏側は芽をつつんでいた白銀色の綿毛でびっしりおおわれています。

このよもぎの葉の裏側におおう綿毛だけを精製して、お灸に使うもぐさとして使うようになったのは、なんと2000年以上も昔の中国でした。
もぐさとはよく燃える草をあらわす日本語です。お灸が中国で生まれ、日本から世界へひろがったためにもぐさは「MOXA」として今では世界共通語となっています。

ところで今、私たちの周囲のどこでも雑草として目につくよもぎはカンカン照りの夏のコンクリートのスキ間からでも顔を出すたくましい植物ですが、そのルーツはユーラシア大陸やアフリカ北部の乾燥地帯。
もぐさに使う葉の裏の綿毛は実はよもぎが乾燥したこの砂漠で生きぬくために身につけた自衛手段だったのです。

というのも植物には葉の裏側に呼吸するための気孔があります。
ヒトが汗をかくことで体温調整をするように、植物も暑い時には気孔を開いて水分を蒸散して葉の温度を保っています。
しかし乾燥地帯に生きるよもぎは根からの水分補給がほとんど期待できないので、水分の放出をできるだけさけるために、葉の裏側は気孔をおおうようにびっしり綿毛でおおわれています。
しかもこの葉の裏の綿毛は乾燥を防ぐためにロウまで含んでいるのです。

さまざまな手段で乾燥から身を守っているよもぎ。
夜になると葉を閉じ、葉の裏側の綿毛で砂漠独得の夜の冷え込みからも身を守っています。
このよもぎがカコクな砂漠で生きぬくために時間をかけて身につけた究極の自衛手段、それが葉の裏側の綿毛なのです。
その綿毛だけを取り出して、もぐさとして使うことを考えついたヒトの智恵にはただただおどろくばかりです。

もぐさといえば古くから「伊吹もぐさ」で知られる通り、伊吹山のふもとでは早くからもぐさづくりが盛んでした。
かつて伊吹山を埋めつくすようにあった伊吹山のよもぎはオオヨモギと呼ばれる品種で今も山頂近くでは見ることができます。
女性の手のひらくらいの大きな葉で葉の裏の綿毛も多いところから、もぐさづくりに重宝されてきたのです。

初夏、花の咲く前に刈り取ったよもぎは天然乾燥し、石臼でひいて唐箕と呼ばれる選別機で軸や葉をとばすことをくり返して、綿毛だけを取り出します。
生よもぎ100キロからとれるもぐさはわずか500グラムほど、もぐさはいわばよもぎの命そのものといえる貴重なものなのです。

まとめ

雨の降らないきびしい自然を生きぬくために長い時間をかけて身につけた自衛手段、それが葉の裏の綿毛。
お灸のもぐさは、このよもぎの綿毛からつくられてます。

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